カウンセラーによる心理検査所見

心理検査所見

【氏名】 No

【実施日】2010528

【検査】 WAISⅢ

【結果】

  1.   全検査 IQ 102
  2.   言語性 IQ・動作性IQ 101<103
  3.   下位検査

・言語性検査 評価点平均は 10.0.<単語><類似> く理解>は評価点平均より高く、特にく単語>は「13」と高い。言語理解や言語表現の良さがうかがわれる。一方<算数><数唱>く語音整列>は評価点平均を下回り、<算数>では質問項目を何度か聞きなおしたり、ケアレスミスが見られたり等、言語処理に比べると、注意の持続やワーキングメモリーの働きのまずさがうかがわれる。

下位検査項目はどれも評価点平均 100±3点内であり、バラつきはそれほど大きくない。

・動作性検査評価点平均は10.8と言語性よりはわずかに高くなっているが、評価点範囲は±6点と、項目間のバラつきがやや大きい。<積木>は「16」と高く、<符号>は「7」と全項目の中で最も評価点が低い。<積木>の高さが突出しているため、バラつきが大きくなっている印象。自閉的傾向を持つ人ではく積木>の得点が高いといわれるが、被験者に当てはまるか??時間制限のある課題では,時間切れによる失点が見られ、不安・緊張により作業の質や量の低下が生じるかもしれない。

【考察】

全検査IQ102であり、全体としては平均的な知的能力を持つと思われる。言語性・動作性検査間の差はわずかで、ディスクレパンシーは認められない。しかし、動作性検査においてはやや項目間でバラつきが見られ、能力的な偏りがうかがわれた。

言語理解や表現は比較的得意だが、注意・記憶力、とくにワーキングメモリーを必要とする課題処理(継次処理)にはやりずらさを感じていると思われる。この点は仕事や人間関係にも影響を及ぼしていると考えられ、「友達の重要な話を全く覚えていないことがあり、その後関係が悪くなった」「仕事では何か一つ必ず忘れる」との話などは、上記結果を支持するものと考えられる。また、これまで国語が得意だが、算数では小数点がついたり、抽象的な記号が出たりするとダメ、と話していたことは、上記結果と矛盾しない。一方、「人から常識が無いと言われる」ようだが、<絵画配列>く理解>は評価点平均よりそれぞれ高く、場が読めないということではなく、知識の無さが影響していると思われる(「芸能人とか、社会の仕組みとか、みんな知っていることを知らない」=興味の偏り?)。検査場面では、ある会話で同時に笑いだすことが度々あり、その場を共有できている印象。

 

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<本日の調子>

緊張している。今日は10:003:00まで仕事して来院。胃が痛くなったので、薬を服薬。20歳過ぎ

くらいから胃痛がある。しくしくするような痛み。薬が効いているので、今は大丈夫。

<通院開始から>

**********を飲んでいる。来た頃よりは調子はいい、少しずつ良くなっている。特別困ったことはない。仕事が変わって、それが良かったのかも。今の仕事で16ヶ月。

20歳過ぎくらいに初めて精神科を受診。Dr と意思の疎通ができず、中断(「話を聞いてくれない」)。その後は何とか過ごしていたが、1ヶ月に一回風邪をひく、めまい、死にたいと思う、などが見られるようになり、自ら「危ない」と感じて当院受診。

<調子が悪い時>

  • 隣部屋のTVの音が気になる(他のことが手につかない)
  • まぶしく感じる
  • 痛み身体を洗っている時、普段は感じられない痛みを感じる

*毎日ということではない

*腹痛・頭痛はなし

*高校卒業前までは、特に調子が悪いことはなかった

<小学校〜高校>

・小学生時代 小さな小学校で、クラス替えがなかった。そのためか、変わった子でもうまくやっていくことができた。みんなが一つのことをやっていても、一人で別のことをしていることがあった。

クラスメートとケンカをして教室を飛び出すことがあった。4年生の時に親友ができたが、その後引っ越してしまい疎遠に。

・中学〜高校 中学受験をし、中高一貫校に進学。5年間部活を続ける。授業中よく眠っていることがあった(中学3年時?)。勉強に対してやる気がなく無気力な状態で、家では小説ばかり書いていた。ぼーっとして人の重要な話しを全く覚えていないことがあった(友達の指摘により判明)。

<高卒後>

推薦で小説の専門学校へ進学。書くことが好きだった。

<学校での成積>

どれくらいだったか覚えていない。でも国語は好きで、いつもそれだけは成績がよかった。

「小学校の時は、算数が得意だった」と母親からは言われている。

・授業科目

算数・・・小数点がつくとダメ、応用問題がわからない。数学など、抽象的な記号を使って解くものになると全くダメ。公式を言われても、なぜそうなるのかわからない。

美術・・・絵を描くのが好き。手を模写したり、空想画を描いたりしていた。しかし小学校4年生の時に近視となり、やりづらさから苦手意識が生じ、以前のように面白いとは思えなくなった。

 

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*手先はすごく器用ということではないが、すごく不器用でもないと思う。現在、教室に通い、粘土で人形作りをしている。小さなものから大きなもの(高さ60cmくらい?)まで。数年で数体なので作品は多くはないが、作るのは楽しい。

<人間関係>

以前イヤなことがあり、それを思い出さないように生活している。

そのことがあり(高校時代?)、今は学生時代の友達が一人いる。あとは元職場の人。

その人たちとは月1回程度は会っている。人と会うと疲れるので、調整しながら会うことにしている。

(人と接することについて)接するのは楽しい。でもすごく緊張。接客の仕事も好きだったが、接客時に言いそびれや伝え忘れがたびたびあり、いつも緊張していた。(学生時代?)緊張が強かったためか、泣きたくなくても涙が出てきてしまうことが多かった。(Q:授業中に意見を求められたときは??)そういう機会があまりなかったのか、よく覚えていない。でも意見は言えなかったのではないかと思う。20代前半もあがり症は治らず、緊張で泣いたことがあった。

<WAISⅢ>

「算数』・・・小数点がつくとダメ(笑) 小数点のつかないものは平気。

「単語」・・・厳密な意味がよくわからない

「理解」・・・法律的なことなど、よくわからない。

*家族や知人から「常識がない」と言われる。ことわざとか、社会の仕組み、年金のことなど知らないことが多い。芸能人のこともよく知らない。知らないことがあって、笑われることが多い(笑)

「絵画配列」・・・話の流れがなんとなくわかった。国語は成績がよかったから?

 

のんびりとしたペースで、にこやかに話す。同じタイミングで笑うことがある。